ホットケーキを綺麗に焼く方法

2014/03::発行
2020/03:フォーマット改訂



その4:フライパンを濡れ布巾で冷やす意味はあるのか?


目次
はじめに
試験方法
試験結果
 ①布巾でジュー
 ②布巾に乗せたまま
 ③コンロから外す
 ④コンロの火を消す
結論
まとめと今後の検討課題

はじめに


フライパンの特性がかなり分かってきた所で、いよいよ佳境です。

ホットケーキを綺麗に焼くためには、フライパンを熱した後濡れ布巾で冷やす。

まるで常識の様に語られ続けたこの儀式に、それ程の意味があるのでしょうか

今日こそ、その真実に迫ります。


試験方法


試験方法ですが、以下の4種類の試験を行います。

①先ずガスコンロで熱した鉄製のフライパンを濡れ布巾に一瞬乗せて、どれだけ温度が下がるか調べてみます。

②次に、濡れ布巾に乗せ続けた場合も調べてみます。

③更に、フライパンを手に持ったままだと、どれくらい温度が下がるか調べてみます。

④最後にフライパンをコンロに乗せたままで、コンロの火を消したら、どれくらいで温度下がるか調べてみます。

さてこれをサーモビュアで見ると、どうなるでしょうか?


試験結果

ジャ、ジャ、ジャ、ジャーン。

以下が4種類の試験結果です。

カッコ内の数値はフライパン内の最高温度を示しており、上から下に時間の経過とともに徐々に温度が下がっているのが分かります。

 

それでは一列ずつ見ていきましょう。

①布巾でジュー

一番左の列が、熱したフライパンを濡れ布巾でジューと冷やした結果です。


熱し中(289℃)


ジュー(247℃)
濡れ布巾でジューと冷やしたら、100℃位は一気に温度は下がると思ったのですが、それほどでもありませんでした。

具体的には、冷やす直前のフライパンの最高温度は289℃だったのに対して、濡れ布巾に乗せた直後の最高温度は247℃で、結局42℃しか落ちていません。

②布巾に乗せたまま

2番目の列が、濡れ布巾でジューと冷やして、そのまま布巾に乗せたままにしたものです。


熱し中(307℃)


ジュー(250℃)


30秒後(185℃)


1分後(145℃)

今回は307℃から250℃へと一気に57℃下がりましたが、やはり100℃とは程遠い値です。

また30秒後の最高温度は185℃で、初期と比べて122℃下がりました。




③コンロから外す

三番目が、熱したフライパンをコンロから離して、手で持ち続けていたものです。


熱し中(293℃)


空気冷却開始(265℃)


30秒後(195℃)


1分後(153℃)

この場合、初期の最高温度293℃で持ち上げてコンロから外した直後の最高温度は265℃ですので、28℃低下しています。

さらに30秒後の最高温度は232℃ですので、61℃低下しています。

と言う事は、②の水冷に対して③の空冷は約半分の温度低下がある事が分かります。

④コンロの火を消す

4番目が、フライパンをコンロに乗せたまま火を消したものです。


熱し中(317℃)


コンロの火消去(291℃)



30秒後(270℃)


1分後(198℃)


1分30秒後(176℃)

この場合、初期のフライパンの最高温度が317℃で、火を消した直後が291℃ですので、火を消しただけでも26℃下がります。

また火を消して1分30秒後でもフライパンの最高温度は176℃もあります。


結論


さて上の結果を見て、どう思われますか?

当然ながらフライパンを濡れ布巾で冷やせば早く温度は下がるのですが、フライパンの温度が300℃(鉄のフライパンを弱火で熱した場合の通常温度)に達していればジューと冷やした所で、50℃くらいしか下がりません。

すなわち、ホットケーキを焼くのにちょうど良い温度である150℃にまでは落ちないのです。

またそのままフライパンを濡れ布巾にそのまま乗せていれば、1分30秒後にホットケーキを焼くのに丁度良い150℃になるのですが、わざわざ濡れ布巾に乗せなくてもフライパンを火から離して同じ時間持っていれば、濡れ布巾とほぼ同じ時間で150℃にする事ができるのです。

以上の理由から、たとえ温度の上がり易い鉄のフライパンであっても、わざわざ濡れ布巾に乗せてフライパンを冷やす合理的な意味は無いというのが結論です。


まとめと今後の検討課題


それでは、これまでのまとめと今後の検討課題について考えてみましょう。

①鉄製フライパンとガスコンロの組み合わせでは、フライパンの表面温度が簡単に300℃に達してしまうので適さない。

②仮に鉄製フライパンを使って表面温度が300℃に達したとしても、わざわざ濡れ布巾で冷やさなくても、コンロからフライパンを1分ほど離しておけば適温(150℃)になる。

③ただし折角熱したフライパンを冷やす事自体エネルギーの無駄使いなので、300℃以上に熱してから冷ますのではなく、フライパンを熱し初めて150℃くらいになったらホットケーキを焼き始めれば良い。

さてこの③の仮説は正しいでしょうか?

次回はこの方法でホットケーキを焼いて、うまくいくかどうか試してみたいと思います。




その4:フライパンを濡れ布巾で冷やす意味はあるのか?
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