ホットケーキを綺麗に焼く方法
2014/03: 発行
その3:厚い鉄製フライパンではどうなる?
前回までのあらすじ
新たな挑戦
試験方法
試験結果
冷却時間
考察
まとめ
新たな挑戦
試験方法
試験結果
冷却時間
考察
まとめ
前回までのあらすじ
さて、いつもの様にこれまでのあらすじを、復習を兼ねてお伝えしておきましょう。
①ガスコンロでホットケーキを焼く場合、鉄製よりアルミ製のフライパンを使うときれに焼ける。
鉄製 アルミ製
②これはアルミ製の方が熱伝導性が良くて、鉄製の様に200℃以上に温度が上がらないためである。
アルミ製 鉄製
③それに対して鉄製のフライパンは、コンロの火の当たる個所が局所的に温度が200℃以上に上がるため焦げる。
④この事から、ホットケーキを効率良く焼くには、鉄製フライパンを弱火で熱すれば良いのだが、一番小さなガスコンロでも火力が強く200℃以上になってしまい、どうしても焦げてしまう。
新たな挑戦
今までの試験は、以下のフライパンを使いました。
鉄製フライパン:2mm
アルミ製フライパン:2.7mm
アルミ製フライパン:2.7mm
今度は熱効率の良い鉄のフライパンで、厚みが違ったらどうなるか調べてみたいと思います。
早速我が家にある鉄製のフライパンを探した所、以下のフライパンが見つかりました。
中華ナベ:1mm
小型フライパン:1mm
小型フライパン:1mm
これを使ったらどうなるでしょう?
予想としては、いままでのフライパンより厚みが半分ですので、2倍早く熱くなり、且つ熱伝導スピードも半分になりますので、火の当たる所のみ4倍早く熱くなる思われます。
すなわち焦げ易くなる筈なのですが、どうなるでしょうか?
できれば今までよりも厚い鉄製フライパンでも試験したかったのですが、無い物はしょうがありません。
試験方法
それでは早速試験開始です。
ご覧の通り、我が家のガスコンロは大(直径80mm)/中(直径65mm)/小(直径50mm)のバーナーがあります。
その上に3つの鉄製フライパンを乗せます。
小型フライパン(厚さ1mm)
中型フライパン(厚さ2mm) 中華ナベ(厚さ1mm)
中型フライパン(厚さ2mm) 中華ナベ(厚さ1mm)
さてこれをサーモビュアで見ると、どうなるでしょうか?
予想としては、厚さ2mmの中型フライパンが最も温度が高くなるのが遅いものの、いずれも鉄製なのでさほど大きな差もなく250℃に達すると思われます。
試験結果
ジャ、ジャ、ジャ、ジャーン。
つまらない擬音はともかく、実験をしてみると以下のサーモビュアの画像をご覧頂きます様に、予想通りの事と全く予想外の事が起きました。
コンロ点火直後
1分後
2分後
3分後
4分後
5分後
6分後
7分後
先ず、下2つの中型フライパン(左)と中華ナベ(右)を見て下さい。
これは、予想通りと言っても良いでしょう。
厚みの薄い中華ナベの方が、薄い分だけ明らかに早く熱くなっています。
例えば5分後に中型フライパンの中心部は200℃前後ですが、中華ナベはすでに300℃に達しています。
また7分後の中華ナベの中心部は300℃以上になっていながら、淵の部分は100℃以下の部分があり、熱が伝わり難い事を表しています。
一方予想外だったのは、小型のフライパンです。
7分後でありながら、中心部の温度はまだ150℃しかありません。
何故だ?
冷却時間
小型フライパンが予想外の結果を示した事もあり、今度はコンロの火を止めて、フライパンの冷め方を調べてみます。
コンロ消火直後
1分後
2分後
3分後
あれれ。今度は小型フライパンが、一番温度が下がり難い事が分かりました。
これで何となく、小型フライパンの温度が上がらない理由が分かってきたのではないでしょうか。
考察
ここまで来れば、小型フライパンをじっくり見るしかありません。
当該フライパンのフチを見る限り、間違いなく厚さは1mmです。
また磁石が着きますので、間違いなく鉄製です。
でも何故温度が上がらないのか。
おやおや。
側面から見ると、底の部分に厚さ1cmほど段があります。
もしかしてと調べてみると、 何とこのフライパンは底の部分のみ厚みは6mmもあったのです。
どうりで大きさの割にずっしり重いはずです。
このために、厚さの薄いフライパンより熱くなり難く、且つ熱を側面に早く伝えていたため、底の温度がなかなか上がらなかったという訳です。
試しにこの小型フライパンでホットケーキを焼いてみた所、キツネ色の綺麗なホットケーキが焼けました。
まとめ
さて、これまでのまとめです。
色々分かってきました。
①炒め物を高温で早く調理したい場合は、薄い鉄製のフライパンがベストである。
そうすれば、フライパンは早く熱くなり、且つ周りに熱が逃げない。
故に、高温で一気に調理する中華ナベは理に適っていると言える。
②もしフライパン全体を均一な温度にして調理したいのならば、アルミ製のフライパンを使うのが良い。またガスコンロで150℃程度の温度で調理したい場合も、アルミ製が有効である。
③厚い鉄製のフライパンは、熱するのに時間を要する事から、効率的とは言い難い。
ただしホットケーキの様に150℃程度で焼くには的しており、余熱が十分あるので、火を止めても暫く焼く事が可能である。(余熱を無駄にしなければ、効率上の問題は無くなる)
その3::厚い鉄製フライパンでは?
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